「ほらよっ」
それは突然だった。
「え?」
浮城の自分の部屋で。
ふわりと掛けられた上着より、暖かく感じた。
「若様お手製のものですよ」
いつの間にか、彩糸がそこに佇んでいる。
リーヴシェランは、そこで気付いた。
彩糸はいつもノックするのだ。
私ってば、気付かなかったんだわ、邪羅で驚いたせいね。
なんだか、気恥ずかしい。
彼は、何かを手にしていた。
おずおずと彼女は受け取る。
刹那、二人の手が重なる。
彼女はドキドキした。
いつもは宙に浮いてるから。
今日は、彼女が風邪を引いてるから、そうしたのだろう。
心臓がバクバクいってる…
「きっと熱のせいよ」
聞こえないように、気付かれないように、
彼女は早口でまくしたてた。
「何よ、これ」
「姉ちゃんが作ってくれる卵酒。風邪に良いんだってさ」
自分の為に、持って来てくれたのは嬉しかったけど、
かちんときた彼女。そこに潜むは嫉妬。
「ちゃんと飲めるんでしょうね」
「てめえこそ、料理も出来ないくせに何言うんだよ。
少しは大人しくしてるかと思いきや、さ」
「なんですってー!!」
こうして今日もまた、いつもの様に喧嘩が始まりました。
意識しつつも、この二人がラブラブになる日は、遠い?
それとも近い?
とりあえず、彩糸がウェディングドレスを作る事は
想像できそうです。
人間の頃も、妹を溺愛するあまり、婚期を逃しそうな彼女ですから。
おしまい。
みなぶちコメント;
こちらのキリリク絵で、素敵SSを釣ってしまいましたv
邪リですねらぶらぶですね可愛いですねv
この2人が仲良くケンカしている図が大好きです。さすが破妖界の唯一平和なカップル、読者の心のオアシスです。
まあよく考えたらリーヴィは、王族であり浮城の主戦力でもあり、立場的に、魔性と恋に落ちるのは禁忌中の禁忌で。そういう意味ではすごいドラマティックカップルなんですが、比較対照の闇ラスがすごすぎて(笑)、こちらはものすごくほのぼのに思えます。
どうか今後もほのぼのどつき漫才を続けてくれますようにっ。
長月さんありがとうございましたーvv