「破妖の剣」 作品紹介

(注)ストーリーはシリアス風味、キャラ紹介はギャグ風味にしております。

 

ストーリー

平たくいえば異世界ファンタジー・魔物退治モノ。

 主人公である少女ラスは、魔性(父)と人間(母)のハーフであるという出生を隠して、特殊技能者集団「浮城」に所属していています。依頼を受けた町へ赴いて魔性退治をするのが彼女たちの仕事です。
 ラスは浮城最高の破妖刀「紅蓮姫」の使い手として選ばれるという栄誉をうけながらも、仕事に不可欠なもうひとりのメンバーである「守り手」(=人間に味方する魔性。防御・治癒担当)の不在により、浮城に貢献できないもどかしさを抱えています。ハーフゆえの異質な気配をもつ無口なラスは、それでなくても周囲から孤立していたのです。
 そんなラスの前に、闇主と名乗る魔性が現れ、彼女の守り手に立候補します。時をおなじくして、浮城には「紅蓮姫の使い手」を名指しした難事件の依頼が舞い込み、見切り発車のかたちで浮城はラスの派遣を決定します。多大な不安は残るものの、ラスにとっては大事な初仕事。いまいち信用できない不真面目な闇主の態度に頭をかかえ、暴走気味の紅蓮姫に文字通り振り回されながら、彼女は旅立ちます。…彼女の最初の戦いへむけて。

「非力な人間を虐げて遊ぶ邪悪な魔性を倒す」
 という、明快な魔物退治の図式で始まったように思えたこの話。確かに魔性は気まぐれで人を弄び苦しめているし、そんな人々をこれ以上増やしたくないという気持ちでラスは戦っているのです。が、巻が進むにつれ、そのラス(や闇主)自身が事件の当事者となってしまうことにより、「敵」の性質が変わってきてしまいます。
 ラスを狙う魔性たちは「自分のほしいもの・譲れないもの」のためにラスを排除しようとするし、ラスもようやく、「自分の大切なもの」イコール自分のために戦うようになってきます。…「他人のことなんてちょっと横においといて、自分のために戦って!」 と、読んでいるほうがやきもきさせられるくらいの、「ようやく」ですが。
 だからこの作品のテーマは、「正義は勝つ。善は最後に救済される」とかいうものではなく、「かけがえの無いものを選び取ること、自分を含めたそれを守るために、戦うこと」でしょうか。
 はじめは自分自身を厭って、周囲から拒絶されることに怯えていたラスが、自分の存在を認めてくれ好きになってくれている仲間がいることに気づき、自分にとっての大事なものを見つけて一生懸命に戦いぬく姿が、痛々しいけれど力強いです。

 

 

キャラクター

(メイン)

ラエスリール(ラス)

 父(魔性)・母(人間)がそれぞれの種族における最強ランクの能力者であったために、苦難を宿命づけられた不幸な少女。魔性としての別人格・朱烙(しゅらく)を内に抱えている。
 美しく強い両親にまったく似ていない(と思い込んでいた)ことによる自己卑下と、「自分に親切にしてくれたひとは不幸になる」という怯えのため、口下手で表情に乏しい、周囲から誤解をうけやすい性格。
 普段は魔性としての力は使えない(朱烙は使える)が、父親の特殊能力「魅了眼」(相手を魅了し従わせることのできる瞳)を受け継いでいる。自分の意思とはあまり関係なく発動しているようで、妙なモノに気に入られてしまう…。
 

紅蓮姫(ぐれんき)

 魔性の命を食らう「破妖刀」のなかでも最強といわれる、真紅の剣。
 自我をもち、ご馳走(獲物)を求めてラスを振り回すわがまま娘。と思いきや、外伝では、製作者の息子で最初のマスターであるラキスとの恋物語で、可憐な姿も披露してくれた。
 もともと大食いだったようだが、ラスがマスターになってからというもの食材の質が格段にグレードアップしたため、美食を追い求めるようになってしまったのが困ったところ。

闇主(あんしゅ)

 突然ラスの前に現れ守り手に立候補した、謎の超絶美形魔性。
 美形度と実力の比例する魔性社会において、ラスの父親にひけをとらない美貌と上級魔性もビビる実力を持ちながらも、いちおう正体不明。おちゃらけた言動ばかりで本心をまったくみせない、ラスの頭痛の種その2(その1は紅蓮姫)。彼の主張によれば、ラスとは過去に会ったことがあり、「約束」を交わしたとのことだが、当のラスは覚えていない。(真相は第3巻「柘榴の影」で明らかに)
 多分破妖キャラのなかではいちばんの極悪人(ひとじゃないけど)。

乱華(らんか)/リーダイル

 ラスの弟。魔性うちでは「金の若君」でとおっている。
 人間としての道を選んだラスとは逆に、魔性としての道を選んだ。外見・能力共に父親似だが、唯一、肝心要の瞳だけは母親似。(しかし母親も魅了の能力をもっていたので、それなりに魅了眼としての力はあるらしい)とにかくラスに執着している。
 回を追うごとに可愛くなっていくが、同時に、回を追うごとに哀しくなっていく一途な少年。

(サブ)

サティン セスラン
 浮城でのラスの同僚で先輩。ラスの心を初めて開かせることに成功した、奇跡の人。浮城でラスがふつうに会話できるのは、彼女とセスラン、養母である城長のみ(後にリーヴィが加わる)。
 美人で面倒見がよくて、正体不明の魔性である闇主と掛け合い漫才もできるくらい神経も太い、したたかなお姉さん。
 ラスの大先輩。仕事先でラスを拾い、浮城に連れてきた人。
 ラスの父親がわり…というと怒られそうだが、実年齢を考えると祖父でも通用するかもしれない、外見だけなら20歳後半の微笑み魔人。いろいろな意味で人間離れした御方です。
 闇主とは面識あり。
ザハト/邪羅(じゃら) リーヴシェラン(リーヴィ) 
 第2巻「白焔の罠」にて登場。浮城に依頼に行く途中でラスに拾われた、元気な少年。
 行方不明になった両親の手がかりを求めて、案内係としてラスの仕事に同行する。実はラスに匹敵するような出生の秘密があることが判明。
 ラスのことを「姉ちゃん」と呼び慕っているが、それを弱身に闇主にこきつかわれる苦労人。
 第4・5巻「紫紺の糸」にて登場。浮城でのラスの、年下の同僚。
 最初は浮城の鼻つまみ者(というのが一般的な評価)であるラスを嫌っていたが、ラスと直接知り合ってからは先入観を捨てて友人となる。勝気な性格で、戦いで何かとケガの多いラスを「見ているほうが痛い」と、周囲の心配を代弁して叱りつけたりもする。…しかし今のところ効果なし。
彩糸(さいし)  
 第4・5巻「紫紺の糸」にて登場。リーヴィの守り手。
 アクの強い破妖キャラのなかにあってオアシスのような、裏のない淑やかさが光る、やはり秘密ありの美女。
 しかしまともそうでいて、さりげなくリーヴィには激甘。
 

(妖主)
…魔性の王。個体数にして50程度しかいない上級魔性(妖貴)のなかでも、突出した力とステータスカラー(ふつう妖貴は黒髪黒目)をもつ者の尊称。今のところは5人。

<蜜王の君> <白焔の君> <紫紺の君> <翡翠の君> <柘榴の君>
ラスの父親。魅了眼をもつ。
 最愛の女性を失ってからは、子供たちをほったらかしにして虚空にとじこもったきり。
 闇主とは徹底的に気があわないらしく、「鬱陶しくて嫌いだ」などと言われていた。察するにシリアス一辺倒な几帳面タイプなのだろう。
 本名:白煉(びゃくれん)。熱を司る。
 時代劇のタカビー姫様っぽい台詞まわしと女王様然とした威厳が、とにかくかっこよい。
 闇主とはわりに仲良しのようで、ラスの父親ともそれなりに友好関係にあるらしい。でも多分翡蝶さんとは、女性同士であるがゆえに仲悪そう。
本名:藍絲(らんし)。糸(繊維)を司る。
 人間の魂を材料とした生き人形を作るという、ただれた趣味の持ち主。そのせいか妖主のくせに基本がギャグキャラ…。
 白煉さん激ラブなのだが、とうの白煉さんからはゴキブリのごとく嫌われている。でもめげない。
 闇主とはかなり仲が悪いようす。…っていうか闇主さんは単純に、男の友達いないんだろな…。
熾翠(しすい)・翡蝶(ひちょう)の「姉妹」の姿をとっている。夢を司る。
 2人の性格はまったく正反対で、剛毅な戦士タイプの熾翠さんに対し、翡蝶さんは良くも悪くも女性的でねちっこい。翡蝶さんのほうは<柘榴の君>の恋人。けっこうお似合いだったんかけどね…。まあ相手に誠意を求めても……ねぇ…。
時を司る。
 根性曲がりの魔性のなかでも群を抜いて、天邪鬼で傍若無人な変わり者らしい。
 いちおう城はあるし家来も熱烈なのがたくさんいるらしいが、ご本人はそれを鬱陶しがって、気の向くままに1人で遊び歩いている。…そうやってほったらかしにしてるから、後で苦労するんだぞ……。

 

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